個人事業主や会社の経営者「行政書士をしながら記帳代行をしたいけれど税理士法違反に該当するのか。行政書士に記帳代行を依頼しようと思っているけれど品質はどうか。」
こういった疑問にお答えします。
記帳代行はどうゆう人におすすめか
「記帳代行」というと馴染みのない言葉ですが分かりやすく言うと「会計ソフトの入力代行」です。普通は税理士さんに顧問契約とセットで依頼する場合が多いですが、記帳代行だけを行政書士などの業者に依頼をする場合もあります。
では記帳代行をどのような人が利用した方が良いかというと、経理や簿記に関する知識がなかったり本業が忙しくて経理に時間を割くことができない経営者です。
記帳代行を依頼すれば全ての経理業務から解放される訳ではありませんが、領収書の整理をし、通帳や請求書などをコピーして定期的に郵送すれば後の作業はやってくれるので費用はかかりますが時間を節約することができます。
税理士以外の記帳代行業者に依頼した場合、申告書の作成や年末調整などは税理士の資格を持っている人がすると税理士法違反に該当するので、別に税理士さんに依頼する必要があります。
行政書士が記帳代行をした場合に品質はどうなのか
行政書士に記帳代行を依頼した場合に品質はどうかというと、経理の初心者が入力したのと同じレベルです。ですので、時間面では節約できるけれど品質面では簿記の知識が少しある程度の人がやったレベルと思っていた方が良いと思います。
誰が法人税や消費税の申告書を作成するのか
記帳代行を行政書士などの業者に依頼したとしても税金の申告は無償であっても税理士の資格がない人はできないことになっているので、結局は税理士さんに依頼することになるでしょう。
このように話すと「だったら最初から税理士に記帳代行も依頼すればいいのでは?」と良く言われます。
税理士の立場なのであまり積極的な意見を言うことはできませんが、個人的にも「なんでわざわざ行政書士に記帳代行を依頼するんだろう」と思っています。
私は税理士になるまで行政書士の仕事ってよくわかっていませんでしたが、何となく免許更新の際の代書屋のイメージがあったので、行政書士が記帳代行もやっていると聞いて「なんで?」と思いました。
私が会計事務所の仕事を初めてしたとき、会計ソフトへの入力作業を覚えるところからスタートしましたが、会計ソフトへの入力一つとっても消費税の取り扱いや勘定科目など気を付けなければいけない点が沢山ありとまどったのを覚えています。
例えば「この経費は税務上、損金に算入するのが認められるか」、「この取引は消費税が課税されるのか」など会計と税務は常にワンセットになるでしょう。
税理士となった今でも自分で会計ソフトへの入力をしますしスタッフや顧問先が入力をした仕訳をチェックしますが、税理士事務所の勤務経験のない行政書士が税務調査に耐えうる会計帳簿を作成できるか疑問です。
記帳代行が税理士法違反に該当するかはグレー
行政書士が記帳代行を引き受けた場合、「単純に会計帳簿を作成しただけ」だったら税理士法違反には該当しないと思います。ただし会計帳簿を作成するだけで終わるというのはなかなか難しいと思います。
例えば会計ソフトへの入力が終わった後に試算表の報告をする場合、月次報告のついでに納税額や節税の話を個別にしてしまうと税理士法違反に該当する可能性があります。
実際に私が経験した話ですが、記帳代行会社がある会社と契約をしていましたが、その会社から記帳代行だけでなく確定申告もまとめて引き受けていました。
その記帳代行業者は確定申告を税理士に丸投げしていたので問題がないと思っていたようですが、税務申告の費用は会社から税理士に直接支払われたのではなく、記帳代行業者を経由して支払われていたので名義貸しに該当し税理士法違反の可能性があります。
実際に私は会計帳簿と申告書を見ましたが申告書だけみても計算ミスや記入もれが沢山あったので税務調査があったら問題になると思います。なおその申告書は手書きで書かれていたのでひょっとしたら税理士が作成していない可能性もあります。
最後に、記帳代行を税理士に依頼した場合と行政書士に依頼した場合で大きく料金に差があるなら仕方がありませんが、そこまで料金に差がない場合には税理士に依頼することをおすすめします。
既に触れているとおり、会計帳簿を作成する目的は作ること自体ではなく申告書を作成し税務調査に耐えうることのはずです。
少しの費用をケチったばかりに無駄な税金を支払うことになったり、税務調査で追徴税額が発生することになってしまったら本末転倒だと思います。
